円安になって、小麦やその他の輸入品(食料や原材料)が高騰し、物価が上がっている昨今、そもそもなんで円安になったのか、なんで円安だと物価が上がるのか。
なんで円安が物価上昇につながるのか。
まずわかりやすい円高から。
【円高とは】
日本は工業製品の原材料、食料、燃料など、自国だけでは生産が不十分だ。
ものづくり日本というくらい、工業製品を製造し、輸出する事で製品を販売しお金を得ている。
工業製品とは、材料の金属や、電子部品のトランジスタ(ICチップ)を使って、工場で自動車や電子機器などの製品を製造している。
その金属は、日本で掘っても出てこないし、電子部品はすでに海外の方が価格が安い。なので輸入している。
食料も、食料自給率などで取り上げられるように、日持ちのしない生野菜は輸入では無理だが、それ以外の小麦、肉、飼料、穀物など国内よりも海外の方が安いか生産量が少ないため、輸入品を購入している。
ただし、米は100%、魚は60%が国内で生産、漁場を持っている。
なので最低限の三大栄養素のタンパク質・炭水化物・ビタミンの量は国内で確保する事は出来る。
燃料に至っては、石油製品の材料にもなる原油はほぼ 100%海外からの輸入で、ガスもほぼ海外に依存している。
お金を稼ぐためには、製品を作って売らなければならないが、国内の消費だけでは現代の日本人の所得を満足するほどの売り上げが無いので、海外に売る必要があり、売れるのは工業製品がメインだ。
もちろん昨今は日本の食品の肉牛やパッケージ食品も品質とブランドが有名になり海外に売れてきているが、まだまだ少ない。
よって原材料を安く買い、製品を高く売る。
そのためには、円が強い・円の価値が高い「円高」が好ましい。
同じ 100円でも海外と交換する時に少しでも多くのドルやユーロと交換出来れば、円の価値が高いという。
100円=1ドルより、100円=2ドルの方が円高になった、という。
日本で100円で作った物が海外で1ドルより、2ドルで交換されれば、その2ドルで海外の食料や原材料や燃料を1ドルよりも多く買える。
だから円高ならお金を稼ぐのに安く輸入して「高く輸出」出来る。
※高くした方に注目している。
【円安とは】
円安はその逆で、
100円=1ドルが、140円=1ドルになり、逆に同じドルに対し円の方が価値が下がってしまう。
お金を稼ぐのに、「高く輸入して」安く輸出する事になる。
これは日本の工業製品を作る会社においてつらい状況だ。
日本はほとんどが工業製品の会社でお金を稼いでいたので、円安だと苦しい会社が多い。
庶民も食品を海外の輸入に頼っている小麦や肉、飼料、穀物に関して値上がりしているので、食品が高いと感じる。
国内で生産している生野菜にしてもパッケージの包装や輸送の燃料、肥料があり、これは輸入に頼っているため、値段が上がっている。
こういう事で輸入して国内に販売している会社や経営は苦しい。
逆に海外へ輸出する時ドルに換算すると安く見えるので、輸入する原材料が上がったとしても付加価値の高い高級な工業製品は、価格競争に有利になる。
例えば産業ロボットや精密加工機械、高級家電製品、高価格自動車、高級電子機器などは、日本のシェアが高い。
また海外では高品質なものが安く手に入るため、日本の安い商品も人気が出ている。
このため、円安といっても一概に悪いわけではなく、販売する商品をどのようなものにするか考えて、輸出をためらわない事が必要だ。
【原因】
この状況を作ったアメリカのインフレは、元々コロナが落ち着いてきたこの時期に不足している人員をどうにかしなければならなくて、仕方なく賃金を上げて高給で引っ張る各企業がそもそもの原因で、お金が沢山もらえればそれだけ購買意欲も上がり、価格も多少高くても物が売れるのでインフレ・物価高が加速した。
アメリカの政治的な政策として、インフレを抑えるために、金利を上げ、銀行からお金を借りづらくして、企業の設備投資や人員の雇用を抑制し、商品の価格や給料に圧力をかけて値段をこれ以上上げないようにする方策を敷いてきている。
銀行にお金が借りづらいという事は、今お金を持っている人が誰かに貸せば利益が多くなる。
自分が銀行の代わりにドルを売れば、高い利息でもお金を借りてくれる、つまり利益になる。
そう考えた海外の投資家は、今ドルを買っておいて、まだまだ金利が上がってその時売れば儲かると考える。
そのためドルを買う人が増えて、世界的にドル高になる。
ドル高=円安となる。
もちろん金利を上げる政策をとる国があればそこも投資家は買いに走るので、インフレが起きている国、ヨーロッパにもユーロを買う人が出てくる。
【日本銀行の円買い】
日本は金利を上げていない、ゼロ金利に近いため、またインフレよりデフレぎみなので将来も円安とはならない。
なので、日本の銀行は別の手段である、円買いによって直接円高に引っ張ってこようと、海外の投資家に牽制をかけている。
少し無理筋なのでそこまで円買い出来るわけではない。
そして買うお金は日本銀行が持つ海外資産の売却なので、国内の通貨に影響はない。
従って国内をインフレやデフレにすることもない。
この辺が銀行が日本の事を考えて円買いしている。政治的にも正しい方向だ。
【結論】
日本の円安はアメリカの利上げによるもので、日本だけでなく世界的なドル高だ。
そして世界の物価高の原因は、ドル高だけではなく、アメリカのインフレやヨーロッパのエネルギー問題(ロシア)など様々だ。
日本は円安とエネルギー問題だけで、インフレではない。
アメリカのインフレによる物価高の激しさやヨーロッパのエネルギー価格上昇の厳しい状況に比べて考えよう。
日本は全然まし。